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例えば2分かかる上り坂で、CP200Wの人とCP250Wの人でスタート時間に差をつけてちょうど頂上で追いつくようにするとき、何秒差が適切かは自明ではない。
また、2分の平坦では事情が変わる。
時間差のつけ方をいちいち計算するのは面倒なので、すぐ見積もれるようにグラフを作ってみよう。

走力の仮定
簡単のため、走力の変数をCritical Power(CP)の一つだけにするために、W'=20kJ一定を仮定する。
するとパワーと時間のカーブが書ける。
CPモデルの双曲線の適用範囲は2~20分程度とされていて、1分程度の短時間ではパワーが実際より高めに計算されるので注意(参考)。

タイム算出の仮定
ある長さのコースを走るのにかかる時間は、パワーが高いほど短い。
パワーは重力と空気抵抗力と転がり抵抗力に逆らう仕事に使われる(参考)。
コースの勾配は一定と仮定し、勾配ごとにパワーから時間を求める。
簡単のため、スタート時の加速は考慮せず、速度は一定と仮定する。
重量70kg、CdA0.3、空気密度1.293kg/m3、転がり抵抗係数0.004を仮定。

コースの長さをCP250Wの人のタイムを基準とした時間差のグラフを示す。
縦軸CP250W基準
timedif3.png

縦軸CP200W基準
diftime200.png
例えばCP200WとCP300Wの人の時間差は、グラフの縦軸の差分を読めばよい。
もっと長いコースの時間差を知りたければ、適当な倍率をかければよい。
CPが不明なら横軸をFTPと読み替えても概算できる。
グラフをスマホの片隅に置いておくと便利で良い。

勾配が少ないほど、タイム差は付きにくい。なぜなら重力の抵抗力は一定で、空気抵抗力は速度の2乗に比例して増えるので、勾配が少ないほどパワーを増やしても速度の増え方=タイムの縮まりが少ないから。
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2023.03.26 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
10年ぶりくらいにシューズを買い替えた。
最近どんなメーカやモデルがあるのか全然分からないので、とりあえず今と同じシマノで大きくは外さないことを期待した。ぜひ試着をしたいのでアクセスの良いワイズへ。試着する代を含めて定価で買う覚悟で臨んだ。

店員から聞いた重要な情報
 考えていたモデルにはワイドが無い
   →ワイドのある一つ上のRC7にした。
 40と40.5サイズはソールの型は同一でカバーが若干大きい
   →40で違和感ないので今と同じ40サイズにした。
 BOAは壊れたら無料で交換できる

比較
並べると、同じ色とは思えない限界感が出ている。
前のシューズはマジックテープが劣化で無効化していたものの、後付けマジックテープを両面テープで貼り付けて補修していて、本人はまだまだ使えると思っている。
R315は何回か熱成型したが、今は特にそういうオプションはなさそう。

クリートとボルト取り付け後の重量
 旧 R315 293,295g
 新 RC7 279,282g

前のは確か4万円くらいで、今回は定価10%引きで2.8万円と抑えつつ軽くなったからよしとする。
ちなみに1年くらい前にスペシャライズドの1万円くらいの安いロードシューズを買ったけどあまりにもわっとしていて履く気にならず限界感を助長したのでこれくらいは出さないといけないと学んだ。
2023.03.24 Fri l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
タバタトレーニングについての本を読んだときに、あとがきで、筆者は大学に入るまで有機化学をやろうと思っていたが、ブルーバックスの「細胞の社会」を大学一年の時に読んで生物系へ進路を変えた、自らがブルーバックスを執筆できて光栄と書かれていた。これを読んだら即買いしかない。

後で気づいたことには、上で言及されていたのは旧版で、自分は新版を買っていた。内容はけっこう違うらしいが、新版でもインパクトはあった。受精卵からの発生や細胞のダイナミクスを題材に、生物学の興味深さが平易に魅力的に描かれている。
細胞の社会(旧版)
細胞の社会(新版)

平易ながら厳しさも提示する。ある機能をもった分子の同定のための単クローン抗体法では、無数にある抗体と抗原の組合せについて、一つの細胞では一種類の抗体のみが作られる性質を利用する。例えばマウスの細胞をつぶしてラットに注射すると、ラットの膵臓では無数の種類の抗体が作られる。膵臓の細胞一つ一つを別の容器に入れて培養し、調べたい機能が抑制されるかをひたすら調べる。数千のテストの中から一つ見つけたという話。

生物の教科書に書かれるようなこの分子の作用でこれが起こるという記述の羅列は一見単調である。当方は高校1年で生物を離脱した。しかし、これらの記述が本書で書かれているパズルを解くように技巧的で膨大な実験を積み上げた結果であることを最初に知っていれば見方は変わったかもしれない。本書の出版は35年前と古いが、前提知識がほぼ無いのでどこを読んでも新鮮な驚きがある。第一の感想は、今生きているのは奇跡と感じたことであった。
2023.03.18 Sat l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
基本的に乗らない状態が1年以上続いていた。
修善寺での都ロードが再開したことと、やっぱり脳活動と身体活動のレベルは連動する気がすることから、当社比また乗り始めた。

ターゲットは、修善寺でまともに走ることを考えると2分300W5本はほしい。(以前は340Wくらいではできた記憶)
前提として、諸先輩方の活躍からして問題は練習量であって、年齢的な問題はないと考えている。スポーツの良い側面の一つは元気な先輩を目撃できることと誰かが言っていた。

当初はローラー5分200Wで呼吸が苦しかったところから、
約2か月で2分270W5本をなんとかできるくらいまで戻ってきた。
この過程で新たに取り入れた方法が2つある。

1.タバタ
これまで一度もやったことがなかった。最近実走で1度、ローラーで2度トライして、ローラーではぎりぎり完遂した。もちろんきついのだが、その負荷レベルは坂でちょうどよい相手とぎりぎり競り合うくらいのイメージであり、これをローラーで予定調和的に再現できることに意義があると思った。解説書には、「実施後30分くらい動けなくなる」と書かれていてその域にはまだ達していないが、実施後30分吐き気くらいはして、実施後1週間くらいは体のキレが良い気がする。

2.ロードバイクスキルアップトレーニング
何年か前に一度福田さんの講習を受けて殿筋と腸腰筋の動員が大事なことくらいは覚えていた。本は以前買ったが真面目に取り組んでいなかった。一通りやろうとして半分以上はできないのだが、その後の「調子」は明らかに上がった。以前乗れていた時の上体の押さえ方がわりとピンポイントで戻ってきた感覚があり、走力回復の近道になった気がする。2分5本の2本目にダメになってもプランク!と念じて腹に力を入れ直すとまた踏めたりする。
2023.03.12 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
「学び」の構造
を読んだ。

学ぼうとするとき、まず「おぼえ」ようとする。
「おぼえる」と「わかる」は違いそうである。
「わかる」とは、おぼえた知識ではわからないところがわかること、
その空白について問い続けること、
過去の経験を含めた出来事を関連づけ納得すること(この意味で主観的)。
いつまでも深くわかりつづけることになる。

教えることの機械化を考えると、目標の明文化が必要。
コロンブスがアメリカを発見したのような命題を教える場合、
教えられている側がわかったか、おぼえただけかは外から判別できない。
明文化は困難だが、わかった状態の表れとしての兆候を手掛かりに導くことはできる。
学び続けることでより深くわかっていく。

学びの過程は段階に分けられる。
丸暗記、目標に照らした選択、目標の探求と一貫性の獲得、一貫性を他人に広げる。
学びの問いも段階に分けられる。
前提や当たり前を問う、経験に照らして意味を問う、関連を問う、世の中での役割を問う。
なお、学びの領域には知識の他、芸術や宗教も含まれる。

何のために学ぶかという問いは、人間とは何かという問いに行きつく。
世の中をよくしていくため、問い直し、直観に従って方向を定め、理性によって学び続ける。
人間とは学ぶ存在である。


感想
・文献を読んで何もわかっていないことに気づいたとき、わかったことの傍証の一つは得られたのだろうと思った。
・教えることの機械化はまさに行われつつある。本書の出版は1975年と50年近く前である。わかったことの検証不可能性は変わっていないが、教師の省力化への貢献に意義があろう。
・小中高校生にとっては入口のおぼえるところに動機付けが必要で、ロジック以外の授業関連の身体情報や教師の人間的魅力は大きな要因と思うので、機械化の難しい部分がある。
・わかる経験は重要で、例えばゲームやスポーツを突きつめてわかると、知識の領域でも応用が利きそう。
・わかっている人の雰囲気を見ることによっても、わかる状態に近づくヒントが得られそう。
2023.03.05 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
無酸素性運動能力の定量化について

『今日から始める「タバタトレーニング」』の備忘メモ
体内の機序はさておき、外から観察できる酸素摂取量を出発点とする。

10分以下で疲労困憊に至る一定負荷の運動を考える。
・最大酸素摂取量以上となる測定できない酸素需要量について、負荷と酸素需要量の線形関係から外挿して推定。
・総酸素需要量を酸素消費量と酸素借に分ける。
・10分以下で疲労困憊になる運動を複数の負荷で行い実測すると、疲労困憊時点での酸素借は2分程度までは時間が長いほど上昇し、2分~10分ではほぼ同一の最大値となる。この最大酸素借が無酸素性運動能力の指標。


気づき
1.W'=(Power-CP)×時間は、酸素借に対応する。
2~10分の負荷では、酸素消費は最大(VO2max)であり、最大限の有酸素性エネルギー供給で賄われる負荷はCPに対応する。
ここで、VO2maxでの負荷はCP とは異なることに注意。エネルギー供給源は有酸素性と無酸素性の和であり、有酸素性の分がCPに相当。

無酸素性エネルギー供給源には、クレアチンリン酸とグリコーゲンがある。可逆なのはクレアチンリン酸のみであり、これは人による差は小さいとのこと。すなわち、ある時間内にいかにグリコーゲンを使って乳酸を出せるかの指標がW'になる。また、W'をどれだけ落とさずに持続できるかがグリコーゲン備蓄量であり、持久力になる。
このような背景を知ると、持久力(Dulability)をW'や維持パワーの低下で評価する方法[1][2][3]は、とても素直で順当に見える。
背景を知らずに指標だけ使っているものだから、酸素借という生理的な測定値と結びつけた理解が後付けになった。

2.生成した乳酸は有酸素性エネルギー供給源となるが、その行方はあまり触れられていない。酸化反応が律速になるとしても、脂肪より乳酸の方が代謝しやすそうなので、実質の有酸素性運動能力(CP)は増加するのではないか。脂肪の備蓄量は大きいので、その助けにはならなさそう。

3.運動後無負荷での酸素消費量の増加(EPOC)は、クレアチンリン酸やグリコーゲンの再合成に使われるとのこと。強い人もグリコーゲンは確実に減るから、グリコーゲンの再合成の速さが持久力に効きそう。脚を削っても、少し休んで再合成できたら強い。


[1] Dynamics of the power-duration relationship during prolonged endurance exercise and influence of carbohydrate ingestion
[2] The Science of Durability: Are You Strong Where it Matters?
[3] 仕事した後のMMP
2023.02.25 Sat l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」 を読んだ。

田畑先生によるタバタトレーニングの解説書でありながら、
1.タバタトレーニングの方法
2.身体とトレーニングの基礎(定量化)
3.トレーニングの組立(原理、原則、要素)
4.分子生物学から見たトレーニング効果
の構成で、後半はトレーニングの総まとめとしてとても良かった。これ一冊で完結。
原理原則を抑えておくと軸ができて、新しい手法の是非を考えるのに役立つ。
意識性の原則に言及されていて、トレーニングの目的を明確にして納得してやることが効果を高める。

タバタトレーニングの方法
・Vo2maxの170%負荷20秒+休息10秒を8セット、4分間行う

個人的発見
・タバタトレーニングは、
 有酸素性運動(Vo2が最大に達する)と、
 無酸素性運動(酸素借が最大に達する)の
 両面を最大限刺激するプロトコルである。

・無酸素性運動を続けて、クレアチンリン酸が枯渇し、
 筋肉のPhが下限(人によらない)に達すると運動が停止。
 耐えられる乳酸濃度の上限は筋肉中の緩衝作用に依り、人により固有の値になる。
 
・分子生物学的に、トレーニング効果のうちミトコンドリアの酸化酵素の増加はPGC1αの濃度上昇に関係する。
 この濃度はトレーニング直後には上がらず、徐々に増えて24時間後まで上昇が続く。運動が記憶され適応が進む。



ところで、今までタバタをきちんとやったことがなかった。理論上の効果はよく理解できたので、長尾台の上りの実走でやってみた。

430Wくらいでつっこんだら3回途中で疲労困憊に達してしまった。2セット目も2回目には350Wくらいに低下し20秒も持たなくなった。

良くなかったのは、
 負荷が高すぎた
 一部ダンシングで安定しなかった
 加速に合わせた変速がうまくできていない

やり方を確立するまで慣れる必要がありそう。
2023.02.19 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか? 」を読んだ。

人起因の気候変動について、
どこまでが信じられそうで、どこからが疑わしいか。

仮説
 人の活動(化石燃料の燃焼)
 →主に大気中CO2濃度上昇
 →気候変動(温暖化)

最初の矢印は間違いなさそうである。
 地球の炭素のおよそ1.1%は炭素13同位体である。
 生物の炭素は炭素13の割合がわずかに少ない。
 大気中のCO2は何十年もの間に軽くなっているので、
 生物、すなわち化石燃料由来と推測できる。

二つ目の矢印は定かでない。
 気温は、地球の入熱と放熱が等しくなる温度になる。
 大気中CO2濃度上昇は放熱量を減らす。
 自然の熱流およそ239W/m2に対して、
 人起因の温暖化ガスの寄与は1.1~3.3W/m2と試算される。
 放熱が1%減って、気温が300Kのうち3K上昇。
 ここで、他の条件がすべて同じという条件が付く。
 例えるなら、毎日の食事にキュウリ0.5本分のカロリーを加えて体重が増えるか。
 どの気候モデルも、現実の細部をもれなく再現はできず、不確実。

筆者の主張は、気候変動対策の政策決定に科学的根拠があるフリをするのは止めよ。
価値観の問題である。


感想
・概ね同意。人以外の影響が大きくて対策の費用対効果は不確実だろう。
・体重の例えは分かりやすかった。
・人が気温に影響していることは間違いなさそう。
・確実なことは、化石燃料は使い捨てで埋蔵量は減り、持続可能でないこと。
・争奪戦の代わりに、人類共通の課題を掲げるのは丸く収める知恵だろう。
・脱炭素が実現してもレアアースがネックになり、結局争奪戦にはなりそう。
2023.02.12 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
つい摂りすぎてしまう、精製された砂糖、油および塩の誘惑に対抗する際の心強い味方を挙げてみよう。

・シソ
・パクチー
・塩の入っていない酢
・味のついていない焼き海苔

次点として、
・出汁(ややパンチに欠ける)
・カレースパイス(消化が大変)


気づきとして、食パンの塩分は多い。
6枚切り食パン1枚で0.7~1.0gある。
フランスパン系もかなり多い印象。あまり認識されないので隠れ塩分になる。
カロリーあたりではあんぱんの方が少ない。

一方、ご飯用のふりかけ(子供用)は1食分で0.3g程度だが、味は十分ある。
塩分濃度にメリハリがあった方が塩味を感じられると思われる。
パスタも味付けを調整可能。
炭水化物をたくさん摂るならパンよりご飯かパスタがよさそう。
2023.02.05 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
最近ほとんど乗っていない感覚であった。
Stravaのまとめが見やすい。
2022年は年間で、
走行時間33時間
走行距離740km
だった。
去年12月まではローラー5分すら週に一回未満の頻度。

ふと、無の状態から2週間で修善寺を走れる状態に上げられるか実験する気になった。

計画は特になかった。
体がどんな反応をするか未知のため、無理なく乗って体を慣らそうとした。
始めはローラー5分200Wすらやっとで気管支が詰まる感じだった。
週末の2日間で5分を4回やったところ、多少筋肉がほぐれてきた。
翌週には10分200Wに時間を伸ばす気分になった。

次の週末に3時間半の実走を1回した。
ローラーのおかげで気管支は多少マシだったが、坂では筋力が全く足りなかった。
その後食べる量が増え、体重も56キロ台→57キロ後半くらいまで増えた。
直前の週には、ローラーで1分300W、数分200W、0.5分300Wを続けて出せるようになった。
脚の形が変わった気がした。

結局出走はできなかったが、
おそらく修善寺4.5周を完走はできただろうと勝手に思っている。

レースが目標となり、長らく眠っていていくらでも眠っていられそうな体を起こすモチベーションが湧いた。
2週間前と比べたら代謝能力は大きく進歩した。
健康維持に寄与するに違いない。
この状態を望むならば、レース本番を走ることは必須ではないことに気づいた。モチベーションを上げる観点で、レースという概念は偉大だ。

ただ、満足に走るには準備に1か月はほしいと思った。
2023.01.29 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲