fc2ブログ
お金の向こうに人がいる

経済の話を専門用語を使わずにやさしく解説した本。
要点
・お金で測られる経済価値と受け取る効用は関係がない。
・お金とは見知らぬ人に働いてもらうための権利
・お金は働いてくれる人がいないと価値がない。
・経済の目的は無人島での助け合いの延長。
・お金で解決できるのは配分の問題だけ。総量は変えられない。
・お金があっても働き手がいないと役に立たない。
・将来不安を解決するには社会全体で子育てして働き手を確保する。
・助け合いの発想がなくなってきて親の負担は増える。

感想
無人島での助け合いの例えが分かりやすかった。経済とは大きな無人島にいるということ。自然資源と働くことが原資であり、お金はそれらを回すだけ。お金に換算できないものを含めたミクロな労働のうち、子育ては確かに代表的なものだろう。働いてさえいればあとはうまくシェアすればよい。インターネットの貢献は大きい。日本の勤勉な国民性というのは心強い。

ところで、自転車などの趣味を楽しむことは無限に効用を引き出す魔法に見える。スポーツ観戦で勇気づけられるというのも似ている。部活動は効用を感じるチャネルを増やすのによい仕組みに思える。しかし特にマイナースポーツでは経済価値を生み出しにくい面がある。効用があるからよいではないか、とはならない。やはり大富豪のパトロンが必要か。ミクロな労働、ミクロな効用をもっと見える化できればよいのに。
スポンサーサイト



2024.02.11 Sun l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
運動と疲労の科学」を読んだ。

読む前の期待
疲労について語ることは、正義について語るくらいにふわっとしていてそもそも定義が曖昧である。疲労の原因は複合的で掴みどころがない。疲労の研究の歴史は、疲労の原因が次々に明らかになってきた歴史であり、終わりがないとも言われる。
それでも現象を分析して理解を進めることは、練習の質と量を上げてパフォーマンスを高めるために、疲労を防いだり疲労からの回復を早める方法を見出すヒントを与えてきたと思われる。自転車でいればTSBを適切に管理して過労を防ぐといったことだ。それらを体系的に見てみたい。

内容
疲労の定義については各章を書いた筆者が都度定義している。例えば1章では、生体機能が低下し、機能が可逆的に復帰できる状況を保ちながらも、低下前まで復帰できていない状態を疲労と呼んでいる。
恒常性について、身体を細胞、細胞外液、骨の3要素で考え、物質を元素レベルで考える。3要素の構成元素が決まっていて、バランスしている。活動した組織が失われた物質(元素)を取り戻すには他の細胞か要素から取り戻すことになる。取り込みと排泄はホルモン等によって調節された濃度勾配等により駆動される。調節が不十分だと、活動した細胞の活性は活動前の状態に復帰しない。
バランスの変化を調べた例として、ストレスや運動を与えると分かりやすいアウトプットである尿中のミネラルの量が変化する報告がある。調節システムのどのプロセスがネックになってアウトプットが変化するかが調べられ、原因を明らかにしていく。そして、その原因プロセスに介入する方法が調べられる。
運動の疲労の観点では、エネルギーや筋力の視点の他に、中枢性疲労(無意識下の認知疲労)も調べられている。

感想
様々な疲労の原因が解説されていた。思いがけず、前提となる恒常性の理解が整理できた気がする。イメージとしては、疲れたなと思ったら、原因の寄与率ランキングみたいなものがあって、的確に言い当てることと、適当な介入をできると良さそう。中枢性疲労はどこかで読んだが、ここで取り上げられるくらいに信頼性があるようだ。ラストスパートを説明するなど説得力があり、プラセボが有用であることが示唆される。
2023.10.29 Sun l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
元論文
https://www.mdpi.com/2304-8158/11/19/3120

日本語訳
https://hts-saltworld.sakura.ne.jp/salt16/salt16-3/salt16-3-Foods/salt16-3-Foods-3.html

ある時、粒子径の大きい塩は小さい塩よりも塩味を強く感じられることに気づいた。例えば、ステーキやポテトチップスに振られるごつごつした塩と、食パンに均等に含まれる細かい塩の含有量を比べると、前者は案外少ない。そこで、粒子径の依存性を調べると、塩が不均一に分布するほど塩味を感じやすい報告があった。粒子径が大きいことは不均一に近い意味を持つので、個人的な感覚と整合した。不均一の実装方法の例として塩のカプセル化が挙げられている。個人の意識としては、粒子径の大きい食品を選ぶと感じる塩味を減らさずに減塩効果を得られそうである。これは加工度の低さとの相関が大きい気がする。方針は少ない方が良いので、結局は加工度の低さを意識すれば大まかには良さそう。

このように脳をハックして所望の結果を得ようとする過程は、身体トレーニングにも似ている。同じトレーニング効果を得るために、個人的にメンタル負荷の低い方法を探って行うと心の平安が比較的保たれる。同じがんばりであればより大きな効果を得られる。
2023.10.21 Sat l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
現在のドーピングの問題について読んだ。2000年代と比べて陽性摘発のニュースは減った気がするが最近はどうだろう。

Fifty shades of grey? On the concept of grey zones in elite cycling

世界アンチドーピング機関(WADA)は、国やスポーツごとに異なっていたアンチドーピング規制の統一のため1999年に設立された。その規範で禁止物質を定義している。明示的に禁止されていない物質は許可されていると見なされる。
ただしperformance enhancing drugs(PED)の全てが禁止されているわけではないことと(例えばカフェイン)、禁止リストは変更される可能性があることに注意する必要がある。問題は明示的に許可または禁止されていないグレーゾーンの存在であり、例えば以下がある。

例1.治療目的での禁止物質の使用
治療に必要との承認を得れば禁止物質の使用は許可される。このTherapeutic Use Exemptions(TUE)プログラムがパフォーマンス向上のために組織的に悪用されていたとの指摘がある。例えばチームスカイのマージナルゲインの獲得があるがWADA規則には違反していない。

例2.合法的なパフォーマンス向上
パフォーマンス向上効果が認められるものの、許可されていてドーピングとはみなされない物質や方法がある。例えば鎮痛剤や栄養補助食品などの物質、低酸素室など。EPOと低酸素室はどちらも高地でのトレーニングと同様の効果を目的とするが、不当とみなされるのはEPOだけである。

例3.未承認または未登録のPED
他よりも規制が緩い国の保健当局によって承認されている物質の使用は、すべてのアスリートがアクセスできるわけではないため不公平な競争につながる。


関係者へのインタビューでは、特に、TUE、低酸素室、鎮痛剤、サプリメントは、禁止されていないにもかかわらず、逸脱と認識されている。また、特にキャリア前半の選手や新しいチームドクターは、TUEに非常に不快な感情を抱いたと報告した。

アスリートの40%から100%がサプリメントを使用していることが示された。サプリメントはマージナルゲインの一部と見なされる。しかし、「普通ではないと思うのは、レース中に多くのライダーがラスト100kmでトラマドール(=鎮痛剤)を服用しているのを見るときです」(ある選手)。

エリートスポーツのパフォーマンス重視の文化を考えると、グレーゾーンを逸脱とみなすのは矛盾に思われる。選手はアンチドーピング規制に加えて、拡大するグレーゾーンの使用による疑惑を回避しなければならず、不安定な労働条件にさらに不確実性が加わる。

「クリーンスポーツ」を装って、ますます多くの物質や方法をグレーゾーンに押し込めがちで、状況は悪化している。
改善策として禁止物質リストの短縮を提案する。リストを強化作用が明確で健康上の脅威となるカテゴリーに限定することで、禁止範囲が明確になり、グレーゾーンに対する否定的な認識が減り、その使用への不安が軽減されうる。


感想
個人的に認識していた現在のドーピングの問題としては、
・不正の検出技術と回避技術のいたちごっこ
・意図せず禁止物質を摂っていて検出された場合の救済の余地
くらいであり、グレーゾーンの問題の深さは知らなかった。

個人的経験としては、学連でもランダム抜き打ち検査があり市販の風邪薬は飲まない意識はあった。風邪を引いたら休んで自然治癒あるのみ。大したレベルになかったのであまり気にしていなかった。タイラーハミルトンのシークレットレースを読んで衝撃を受けたことはあった。

グレーゾーンを狭めるのは良いけど、規制を高リスク物質に絞ることとの関連がまだ理解できていない。

TUEを廃止すればグレーゾーンが減るのはわかった。廃止すればよいと思った。この制度の利得と弊害を比べたら弊害が大きい気がする。もちろん制度が必要という側の話も聞かねばなるまいが。

健康を害さない前提で、強化すること自体ではなく、アクセスの不公平が問題と思われる。
あまり複雑な規制をすると競技の裾野を狭める弊害もありそう。
禁止物質を絞ったら検査がしやすくなり、広範囲のレースで検査することが啓蒙になる気はする。それでも強化技術の進歩に従って禁止リストは増える一方か。
2023.10.02 Mon l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
大規模言語モデルは新たな知能か

ChatGPT(大規模言語モデル)とは何なのかについて読んでみた。

大雑把な要約
・現時点での効果的な使い方は、候補を数多く出させて人が参考にしたり、人の案を洗練させたりすること。あとは研究での文献調査。回答が正しいかどうかを人が判断する必要がある。

・言語モデルは意味を捨て確率という構造の中で言語を扱う。次の単語を予測できるように学習すると文章の中から予測に役立つ情報を扱えるようになる。これまでの常識では、問題に応じて適切なモデルサイズが存在し、多すぎると過学習が起きた。しかし、モデルサイズが多いほど言語モデルの性能が上がる、べき乗則が発見された。

・人の言語処理の大部分は無意識に行われていて、仕組みはよくわかっていない。人の進化や学習過程では感覚器による現実世界の理解が先にあり、その上に言語能力が作られると考えられる。エネルギー効率で見ると、大きな言語モデルは数メガワット必要なのに対して、人の脳は20ワットで済み乖離がある。人工知能を突き詰めると人間自身の理解が深まるかもしれない。

・大規模言語モデルの実装
ニューラルネットワーク>ディープラーニング>トランスフォーマー
+強化学習

ディープラーニングの特長
1.ニューラルネットワークの多層構造により、データの表現方法を学習により獲得するので特徴設計が不要。
2.誤差逆伝播法により、どんなに複雑な問題でも学習できる。局所最適解に陥らない。
3.学習の際に適切なサイズに表現力を制御することで過学習を防ぎつつ汎化する。
 
トランスフォーマーモデル
自己注意機構により、過去の自分の途中処理結果から関連しそうな部分に注意して情報を集める。前の層のニューロンの活性値が途中まで考えた結果である。これは短期記憶に相当。さらに、全結合層が今処理している内容と関連する過去の記憶を想起する。これは長期記憶に相当。この想起結果で更新された途中状態に対して、注意と想起を繰り返す。意図せずメタ学習が実現され、未知の状況に適応する能力を獲得する。

強化学習
人が教えた少数の良い回答のランキングから自動評価システムが作られる。生成した対話を評価して大量に学習する。


感想
・素人向けながら少し中身を解説していて解像度がちょうど良い。
・べき乗則について、物理現象のモデル化にシンプルな記述が指向されるのと対照的で直感に反する。このことから何かが根本的に変わったことを理解した気になった。
・子供の言語獲得効率の高さにはいつも目を見張る。子供の発する言葉を大量に記録して追跡すると理解のヒントがあるかも知れない。
・初稿を2週間で書いたというあとがきに驚愕。
2023.09.12 Tue l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
プルーストとイカ

文字を読む脳の発達と進化の二つの次元の話。著者は認知神経学者。
プルーストはフランス人作家で発達を表し、イカはニューロン研究の代名詞で遺伝的な進化を表す。

流暢に読む人の脳を調べると、500msの間に脳の色々な領域が統合して機能している。
文字を獲得してからの高々数千年の間では、進化的な変化は小さい。
元々備わっている視覚、話し言葉などの基本機能を”つなぐ”ことで識字能力は獲得された。
文字を読むことは脳の機能と相互作用し、脳の機能自体を高める。

紀元前数世紀、ソクラテスは書き言葉の普及により話し言葉で得られていた理解が阻害されると懸念した。
結果的には、書き言葉には上記のプラスの役割があった。
同様に、今後動画や音声が情報伝達の主流になると、情報の理解や思考が疎かになる懸念がある。
思考の時間を指導者が確保する必要がある。

感想
自分はわりと最近まであまり本を読んでいなかった。暇があれば体を動かしている方がよかった。読書では背景として持っている経験や知識(データベースとする)との照合と相互作用が重要で、データベースが増えることで読書の面白さを理解できるようになってきたのではと感じていた。この感覚を説明する内容であった。

より高次のスキルとしては、重要な内容とそれ以外を識別して後者を飛ばす能力があると思った。これは読書でも動画でも同じ。この判定にはある程度の理解が必要なので、理解のある者とない者の差はさらに広がる気がする。一方で、著者が扱っている識字の難しい者(ディスクレシア)が別の能力を発揮する機会は増えそう。
2023.08.01 Tue l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
人は2000連休を与えられるとどうなるのか?
当方にとって(今のところ)思考実験でしかないテーマについての興味深い話。
最後の方では、自己を知覚点と認識し、死を知覚点の消滅と捉えるに至る。

ところで、この前半でひたすらに記憶を書き出す下りがあった。
ふと思い出したのが、今まで走った道をいつか地図上に塗ろうと思っていたことだった。
少し調べると、以下の手順でわりとすんなりだいたいの線を描けた。

・こちらで無料アカウントを作成(https://ridewithgps.com/
・strava/garminアカウントと紐づけ、またはGPSログ(GPX等)をアップ
・GPSログの無いライドはルートプランナーでルートを作成
・コレクションを作成し、ルートを選択して読み込む

log.png

注意点として、garminは全データ共有、stravaは紐づけ後の新規データのみ共有。garminには一部しかなかったのでゴールデンチーターでGPXを一括で作成してアップした。
初期のツーリングのGPSログはほとんどないため、主要ライドのみ旅行記の都市名を適当につないでルートを作成した。
関東甲信のポツポツとした点は主に車移動でのレースなど。
長い線はツーリングでほぼすべてテント泊。
与那国島が入っているので地図が引けている。
感想:こんな簡単に無料で描けるとは便利な世の中。当時、白地図にペイントで線を描くことを本気でやっていた。

そういえば本ブログの当初の目的は、いかにもどこかに消えそうな旅行記を残すことであった。
実際、旅行記を載せた会報の印刷物および元データは失われた。
この図をもって一つの形になった。
2023.07.26 Wed l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
2020年にスイスgreenteg社がcore™を発売
深部体温を推定するウェアラブル端末

深部体温とは
・胃腸の温度
・限界を決める要素の一つ
この文献がわかりやすい。
fig1.A 初期温度の違いで時間が伸びるが共通の40℃でオールアウト
fig3.A 冷やしながら運動すると耐えられる時間が伸びる
→ペースメイクや限界検知に役立ちそう

ウェアラブル端末レビュー
Wearable Sensor Technology to Predict Core Body Temperature: A Systematic Review

深部体温の測り方はいろいろある
直腸または胃腸温度計が正とされる
ウェアラブルの測り方で精度に大きな違いはない
高温域で誤差が大きい傾向

問い
発熱は脚なのになぜ深部体温が上がるか
  自転車運動の発熱は脚6、胴3(NASAの文献(宇宙服開発)のtable13)
  熱は血液に乗ってめぐり、皮膚で放熱
  皮膚血流増加で等価熱伝導率は安静時の8倍
  断熱と放熱を調節

coreの構成
心拍計とクリップ式センサー

熱流センサとは
センサー厚み方向の温度差を電圧出力

精度検証論文
CORE™ wearable sensor: Comparison against gastrointestinal temperature during cold water ingestion and a 5 km running time-trial
2023/6/14公開

◆背景
core精度検証の査読論文無し
GIとの比較例
 漸増負荷自転車 高温域でcoreが0.2℃過大
 フィールドホッケー coreが0.17℃過少

モチベーション
(1)アメリカでポピュラーな5kmTTランを調べたい
(2)走る前の冷水飲む効果を検知できるか
  4度の水500mlで30分以内に0.2℃程度低下の知見あり
  coreは皮膚温度から推定するので、内部冷却を検知できなさそう
  意地悪ではなく実際の使い方


◆実験内容と結果
被験者12人 平均25才
実験10時間前に比較用のGI-PILLを飲む
2021年5月に購入、3回のアップデートでアルゴリズムは不変(メーカー情報)

◆冷水
4度の水を7.5ml/kg=450ml/60kg
40分後、GIのみ温度が低下、coreより高いまま
→冷水の効果を検知できない
//熱流束のデータがない
//原理的には深部体温が低下したら皮膚温度が不変でも検知できるはず

◆5kmTT
トレッドミル5kmTT
24インチのファン2個 平均風速14km/h程度
verbal encouragement
17~28分 3.4~5.6分/km
平均179±10bpm
十分な水分補給済=尿浸透圧で確認

GIPILLの増加よりcoreの増加が少ない
差が増える
要因の一つは皮膚温度が上がらないこと
//これも原理的には深部体温が上がったら皮膚温度不変でも検知できるはず

運動中のGIとcoreの差は小さい人も大きい人もいる

◆まとめ
TTでcoreは過小評価。頼りすぎると熱中症のリスクがあるので注意
外部冷却の検知についても比較実験が必要

補足
ヒートテストで個別化
38℃まで上げて160拍キープでのパワー20%減まで

◆感想
解釈が難しい
・人によるばらつき大きく比べられない
・自分の相対値としてみる

精度を上げるには
・運動モードで分ける
・GIPILLで定期校正

余談
FTP200wと400wの人が存在するのはなぜ
 効率は2倍にはならない→発熱は2倍近い
 暑熱順化のメカニズム
  ・発汗量増加
  ・汗の塩分減少
  ・皮膚血流増加条件のシフト
  ・血液循環量の増加
 →強い選手で血流循環量2倍はありえるので、等価熱伝導率2倍はありえる
2023.07.10 Mon l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
財務省貿易統計によると、ここ数年の日本の貿易収支は±80兆円でほぼトントン。

産業別の統計について、機械学会の記事が分かりやすかった。
・表1より、食料と燃料の-23兆円を、一般機械と輸送用機械の+23兆円でカバー。
・表4の推移より、機械産業のうち、輸送用機械が常に+15兆円程度で強い。要は車。
・電気機器は2004年に+7.5兆円だったが大きく減少してほぼトントン。
・原動機、工作機械などの一般機械は底堅く+8兆円程度を継続。
・通信機は2004年にほぼトントンから2018年に-2.5兆円に悪化。要はスマホ。

車が強いと聞いてはいたが、初めて数字を見た。
車に比べて一般機械も頑張っている。
2000年以降電気がコケたのでいよいよ車と機械の国である。
EV化で車がコケたらどうなるのか。

ところで、経常収支全体としては、日経記事がわかりやすい。
製造業の積み上げは資源高で吹き飛ぶ。サービス収支も弱い。
同じ話だが、ロイター記事によると、
"「財では稼げないが、投資収益で稼ぐ」という「成熟した債権国」らしい仕上がりになっている"

なお、国際収支の全体像はこちら
具体的には、国際収支総括表のG,J,K,L列あたりを見れば良さそう。

所感
製造業とは何なのか、よくわからなくなってきた。
とはいえ車の+15兆円が無くなったらやはり痛手。
これだけのリスクを抱えているなら再エネ主体に早く移行したい。
2023.07.08 Sat l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
2050年に炭素排出量を実質ゼロ(Carbon Neutral)にすることになっているが、現実味はあるのか。(経産省資料P5

1次エネルギーとして水素を輸入することになっている。(経産省HPの図
水素は海外の再エネ電力で作ったものだろう。
ここで疑問がわく。
 1.高そう
 2.再エネで自給しないのはなぜか。輸入するなら安全保障の問題は棚上げになる。

1.下記3点から今より高くなることは不可避と思われる。
 ・大気圧でのLNG温度は-162℃で、液体水素温度は-253℃である。
 ・現状LNGの輸入コストの2/3は液化と輸送である(経産省資料
 ・液体水素の体積エネルギー密度はLNGの半分程度である(リンクの図

2.いくつか理由を考えてみる。
(1)再エネのリソースがない?
 ・日本の再エネのリソースは十分ある(環境省資料(2022)

 ・下記文献によると、2035年時点で、発電量の9割を再エネ+原子力で賄える。
The 2035 Japan Report: Plummeting Costs of Solar, Wind, and Batteries Can Accelerate Japan’s Clean and Independent Electricity Future (日本語版
 ポイント
  - 再エネは初期費用がかかるが、普及すれば化石燃料輸入が減り、初期費用を含めても電気代は上がらない。
  - 蓄電池と送電網の増設で安定供給を損なわない。

 ・これは憶測だが、産業構造を10年20年程度では刷新できないことが要因にありそう。
  液体水素輸入、水素燃焼、アンモニア燃焼などは、機器は全く新しくても構造は似ている。
  構造を変えるほどのコミットはしていないのでは。
(7/15追記:似たような言説

(2)既定路線?
・過去に1993年から10年間の水素プロジェクトがあった(WE-NET資料)。ここに水素が良い理由が(最近の資料よりも)明確に書かれている。再エネ電力の再配分には輸送が必要で、エネルギー密度を比べると水素が有利(リンク)。30年前からやっているけどまだまだ道半ば。

最近の動向
・再エネ比率目標を上げる動きはある(資源エネルギー庁資料P71
・水素関連の目標は後退気味。肝心の水素の製造方法の目標がない。(NHK資料
・足元での国のプロジェクトは全方位的である(リンク)。皆が対象という方針と、厳しい目標なので効果大に集中投下という方針がありそうで、後者は選ばれなかった。鶏卵問題に皆で取り組むと。
・水素関連は長期的な開発であり、2030年の中間目標にはほとんど寄与しない(リンク)。

先が読めない中で本当に間に合わせるならせめて炭素税を劇的にかけることは最低条件な気がする。
こちらの解説記事によると、結局制度設計はこれからとのこと。効果が出るまで遅れがある。単に始動が遅いのだろうが今からでもがんばるしかなさそう。
2023.07.03 Mon l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲