ある日、4人の旅人たちはクリスタルを求めて旅立った。
クリスタルラインという名の道を行けばクリスタルを手に入れられるに違いない。
そう信じて。
旅人たちは塩山で輪行をほどき、走り出すとすぐにクリスタルラインの入口に行きつけたことを喜んだ。
難儀な戦いの始まりであることを知らずに。
坂は厳しく延々と続いた。
あたりに人気はなく、補給食は尽きた。
いつでもキャンプを張り米を炊く準備はあるが、今日中に峠を越えて長野に出なければならない。
空腹が彼らを焦らせた。
結局何も見つからず、おびただしい量の汗が滴っただけだった。
無言のうちにどうにか峠だけは越え、川上村の名も忘れられた駅舎に寝床をかまえた。
朝には決まったようにおじさんがやってきて我々を追い払った。
さて、思い返してみると昨日クリスタルを見たかもしれないということに気がついた。

慰めにもならない夢だったか。
6年後、旅人たちはすっかり散り散りになり、それぞれの思いを胸に世界を旅していた。
一人が鉄の道を使いかの地の近くを通りかかったとき、たくさんのクリスタルが落ちているのを偶然見つけた。
それはいとも簡単に手に入れることができた。

100g200円也。
その日は家から出発して一度も心拍数が100を超えることはなかったのだった。
その旅人は嘆いた。
このことを仲間に知らせようにも、今や世界のどこかにいる仲間たちを見つけ出すことの方がずっと難しくなってしまったことを。
もはやクリスタルを手に入れることはとりとめのないことのように思われた。
そして、そっとしまっておくことにした。