Effects of Frictional Loss on Bicycle Chain Drive Efficiency (2001) を読んだ。
pdfはこちら。
概要
・チェーンの伝達損失を摩擦モデルで計算した。
・スプロケ歯数、回転数、パワーをふった実験で伝達効率を測った。
・トルクが小さい条件では計算よりも実験の効率が低かった。
・摩擦損失以外の損失の要因として振動減衰が考えられる。
チェーンの構成
ピンはアウターリンクサイドプレートに固定される。
ピンの外側にブッシュがあり、その間で滑る。
ブッシュはインナーリンクサイドプレートに固定される。
ブッシュの外側にローラーがあり、その間で滑る。
ローラーはギアとかみ合う。
摩擦損失のモデル
1.ピンとブッシュの間
チェーンがスプロケを出てまっすぐになるときに回転して擦れる。
同様にチェーンリングに入るときにも回転して擦れる。
このときフリーチェーンテンションに比例した摩擦損失が生じる。
ここで、フリーチェーンテンションはリアディレーラーがチェーンの進行方向と
反対向きに引っ張る力である。
ペダルのトルクがかかるギアとローラーの間は滑らないので摩擦損失は生じない。
回転角度は歯数が多いほど小さく損失は少ない。
2.チェーンラインのずれ
1と同様だがチェーンラインの曲がり角度を乗ずる。
角度は微小なので損失も微小で無視できる。
3.ブッシュとローラーの間
1と同様で、フリーチェーンテンションに比例した摩擦損失が生じる。
実験の伝達効率は、
トルクが大きいほど高い。
トルクが同じなら回転数(40~80rpm)には無関係。
スプロケ歯数が多いほど高い。
実験と計算の比較で、50rpm100Wでは摩擦係数0.25だとギア比3通りで計算とよく合う。
トルクが小さい条件では計算よりも実験の効率が低い。
摩擦損失は熱として失われるはずなので、チェーンとギアの発熱をサーモグラフィーで測った。
予想に反して損失が大きいほど発熱が大きくならなかった。
計算と実験の差の要因にはチェーンの振動の減衰が考えられる。
トルクが大きくてチェーンテンションが大きいとチェーンの動きが抑えられて効率が上がると考えられる。
チェーンラインをずらしても効率の違いは小さかった。
潤滑剤を変えても効率は変わらなかった。
感想
チェーンラインをずらして効率が変わらないのは意外。
ただし100W60rpmで比べていてトルクの大きい条件での影響は不明。
こちらの文献ではラインをずらしたら効率は下がった。ただしディレーラーは無し。
これが2020年に出ているあたり、公のデータは少なそう。
トルクの小さい領域は実際にはあまり使わないので摩擦モデルで十分な気がする。
摩擦以外の損失について同じ著者の続編でモデル化していた。
pdfはこちら。
概要
・チェーンの伝達損失を摩擦モデルで計算した。
・スプロケ歯数、回転数、パワーをふった実験で伝達効率を測った。
・トルクが小さい条件では計算よりも実験の効率が低かった。
・摩擦損失以外の損失の要因として振動減衰が考えられる。
チェーンの構成
ピンはアウターリンクサイドプレートに固定される。
ピンの外側にブッシュがあり、その間で滑る。
ブッシュはインナーリンクサイドプレートに固定される。
ブッシュの外側にローラーがあり、その間で滑る。
ローラーはギアとかみ合う。
摩擦損失のモデル
1.ピンとブッシュの間
チェーンがスプロケを出てまっすぐになるときに回転して擦れる。
同様にチェーンリングに入るときにも回転して擦れる。
このときフリーチェーンテンションに比例した摩擦損失が生じる。
ここで、フリーチェーンテンションはリアディレーラーがチェーンの進行方向と
反対向きに引っ張る力である。
ペダルのトルクがかかるギアとローラーの間は滑らないので摩擦損失は生じない。
回転角度は歯数が多いほど小さく損失は少ない。
2.チェーンラインのずれ
1と同様だがチェーンラインの曲がり角度を乗ずる。
角度は微小なので損失も微小で無視できる。
3.ブッシュとローラーの間
1と同様で、フリーチェーンテンションに比例した摩擦損失が生じる。
実験の伝達効率は、
トルクが大きいほど高い。
トルクが同じなら回転数(40~80rpm)には無関係。
スプロケ歯数が多いほど高い。
実験と計算の比較で、50rpm100Wでは摩擦係数0.25だとギア比3通りで計算とよく合う。
トルクが小さい条件では計算よりも実験の効率が低い。
摩擦損失は熱として失われるはずなので、チェーンとギアの発熱をサーモグラフィーで測った。
予想に反して損失が大きいほど発熱が大きくならなかった。
計算と実験の差の要因にはチェーンの振動の減衰が考えられる。
トルクが大きくてチェーンテンションが大きいとチェーンの動きが抑えられて効率が上がると考えられる。
チェーンラインをずらしても効率の違いは小さかった。
潤滑剤を変えても効率は変わらなかった。
感想
チェーンラインをずらして効率が変わらないのは意外。
ただし100W60rpmで比べていてトルクの大きい条件での影響は不明。
こちらの文献ではラインをずらしたら効率は下がった。ただしディレーラーは無し。
これが2020年に出ているあたり、公のデータは少なそう。
トルクの小さい領域は実際にはあまり使わないので摩擦モデルで十分な気がする。
摩擦以外の損失について同じ著者の続編でモデル化していた。
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