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無酸素性運動能力の定量化について

『今日から始める「タバタトレーニング」』の備忘メモ
体内の機序はさておき、外から観察できる酸素摂取量を出発点とする。

10分以下で疲労困憊に至る一定負荷の運動を考える。
・最大酸素摂取量以上となる測定できない酸素需要量について、負荷と酸素需要量の線形関係から外挿して推定。
・総酸素需要量を酸素消費量と酸素借に分ける。
・10分以下で疲労困憊になる運動を複数の負荷で行い実測すると、疲労困憊時点での酸素借は2分程度までは時間が長いほど上昇し、2分~10分ではほぼ同一の最大値となる。この最大酸素借が無酸素性運動能力の指標。


気づき
1.W'=(Power-CP)×時間は、酸素借に対応する。
2~10分の負荷では、酸素消費は最大(VO2max)であり、最大限の有酸素性エネルギー供給で賄われる負荷はCPに対応する。
ここで、VO2maxでの負荷はCP とは異なることに注意。エネルギー供給源は有酸素性と無酸素性の和であり、有酸素性の分がCPに相当。

無酸素性エネルギー供給源には、クレアチンリン酸とグリコーゲンがある。可逆なのはクレアチンリン酸のみであり、これは人による差は小さいとのこと。すなわち、ある時間内にいかにグリコーゲンを使って乳酸を出せるかの指標がW'になる。また、W'をどれだけ落とさずに持続できるかがグリコーゲン備蓄量であり、持久力になる。
このような背景を知ると、持久力(Dulability)をW'や維持パワーの低下で評価する方法[1][2][3]は、とても素直で順当に見える。
背景を知らずに指標だけ使っているものだから、酸素借という生理的な測定値と結びつけた理解が後付けになった。

2.生成した乳酸は有酸素性エネルギー供給源となるが、その行方はあまり触れられていない。酸化反応が律速になるとしても、脂肪より乳酸の方が代謝しやすそうなので、実質の有酸素性運動能力(CP)は増加するのではないか。脂肪の備蓄量は大きいので、その助けにはならなさそう。

3.運動後無負荷での酸素消費量の増加(EPOC)は、クレアチンリン酸やグリコーゲンの再合成に使われるとのこと。強い人もグリコーゲンは確実に減るから、グリコーゲンの再合成の速さが持久力に効きそう。脚を削っても、少し休んで再合成できたら強い。


[1] Dynamics of the power-duration relationship during prolonged endurance exercise and influence of carbohydrate ingestion
[2] The Science of Durability: Are You Strong Where it Matters?
[3] 仕事した後のMMP
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2023.02.25 Sat l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
1日4分 世界標準の科学的トレーニング 今日から始める「タバタトレーニング」 を読んだ。

田畑先生によるタバタトレーニングの解説書でありながら、
1.タバタトレーニングの方法
2.身体とトレーニングの基礎(定量化)
3.トレーニングの組立(原理、原則、要素)
4.分子生物学から見たトレーニング効果
の構成で、後半はトレーニングの総まとめとしてとても良かった。これ一冊で完結。
原理原則を抑えておくと軸ができて、新しい手法の是非を考えるのに役立つ。
意識性の原則に言及されていて、トレーニングの目的を明確にして納得してやることが効果を高める。

タバタトレーニングの方法
・Vo2maxの170%負荷20秒+休息10秒を8セット、4分間行う

個人的発見
・タバタトレーニングは、
 有酸素性運動(Vo2が最大に達する)と、
 無酸素性運動(酸素借が最大に達する)の
 両面を最大限刺激するプロトコルである。

・無酸素性運動を続けて、クレアチンリン酸が枯渇し、
 筋肉のPhが下限(人によらない)に達すると運動が停止。
 耐えられる乳酸濃度の上限は筋肉中の緩衝作用に依り、人により固有の値になる。
 
・分子生物学的に、トレーニング効果のうちミトコンドリアの酸化酵素の増加はPGC1αの濃度上昇に関係する。
 この濃度はトレーニング直後には上がらず、徐々に増えて24時間後まで上昇が続く。運動が記憶され適応が進む。



ところで、今までタバタをきちんとやったことがなかった。理論上の効果はよく理解できたので、長尾台の上りの実走でやってみた。

430Wくらいでつっこんだら3回途中で疲労困憊に達してしまった。2セット目も2回目には350Wくらいに低下し20秒も持たなくなった。

良くなかったのは、
 負荷が高すぎた
 一部ダンシングで安定しなかった
 加速に合わせた変速がうまくできていない

やり方を確立するまで慣れる必要がありそう。
2023.02.19 Sun l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか? 」を読んだ。

人起因の気候変動について、
どこまでが信じられそうで、どこからが疑わしいか。

仮説
 人の活動(化石燃料の燃焼)
 →主に大気中CO2濃度上昇
 →気候変動(温暖化)

最初の矢印は間違いなさそうである。
 地球の炭素のおよそ1.1%は炭素13同位体である。
 生物の炭素は炭素13の割合がわずかに少ない。
 大気中のCO2は何十年もの間に軽くなっているので、
 生物、すなわち化石燃料由来と推測できる。

二つ目の矢印は定かでない。
 気温は、地球の入熱と放熱が等しくなる温度になる。
 大気中CO2濃度上昇は放熱量を減らす。
 自然の熱流およそ239W/m2に対して、
 人起因の温暖化ガスの寄与は1.1~3.3W/m2と試算される。
 放熱が1%減って、気温が300Kのうち3K上昇。
 ここで、他の条件がすべて同じという条件が付く。
 例えるなら、毎日の食事にキュウリ0.5本分のカロリーを加えて体重が増えるか。
 どの気候モデルも、現実の細部をもれなく再現はできず、不確実。

筆者の主張は、気候変動対策の政策決定に科学的根拠があるフリをするのは止めよ。
価値観の問題である。


感想
・概ね同意。人以外の影響が大きくて対策の費用対効果は不確実だろう。
・体重の例えは分かりやすかった。
・人が気温に影響していることは間違いなさそう。
・温室効果ガス排出量を減らせば温暖化の減速には寄与するが、それで気候変動を止められるかは不明。
・確実なことは、化石燃料は使い捨てで埋蔵量は減り、持続可能でないこと。
・争奪戦の代わりに、人類共通の課題を掲げるのは丸く収める知恵だろう。
・脱炭素が実現してもレアアースがネックになり、結局争奪戦にはなりそう。
2023.02.12 Sun l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
つい摂りすぎてしまう、精製された砂糖、油および塩の誘惑に対抗する際の心強い味方を挙げてみよう。

・シソ
・パクチー
・塩の入っていない酢
・味のついていない焼き海苔

次点として、
・出汁(ややパンチに欠ける)
・カレースパイス(消化が大変)


気づきとして、食パンの塩分は多い。
6枚切り食パン1枚で0.7~1.0gある。
フランスパン系もかなり多い印象。あまり認識されないので隠れ塩分になる。
カロリーあたりではあんぱんの方が少ない。

一方、ご飯用のふりかけ(子供用)は1食分で0.3g程度だが、味は十分ある。
塩分濃度にメリハリがあった方が塩味を感じられると思われる。
パスタも味付けを調整可能。
炭水化物をたくさん摂るならパンよりご飯かパスタがよさそう。
2023.02.05 Sun l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲