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運動と疲労の科学」を読んだ。

読む前の期待
疲労について語ることは、正義について語るくらいにふわっとしていてそもそも定義が曖昧である。疲労の原因は複合的で掴みどころがない。疲労の研究の歴史は、疲労の原因が次々に明らかになってきた歴史であり、終わりがないとも言われる。
それでも現象を分析して理解を進めることは、練習の質と量を上げてパフォーマンスを高めるために、疲労を防いだり疲労からの回復を早める方法を見出すヒントを与えてきたと思われる。自転車でいればTSBを適切に管理して過労を防ぐといったことだ。それらを体系的に見てみたい。

内容
疲労の定義については各章を書いた筆者が都度定義している。例えば1章では、生体機能が低下し、機能が可逆的に復帰できる状況を保ちながらも、低下前まで復帰できていない状態を疲労と呼んでいる。
恒常性について、身体を細胞、細胞外液、骨の3要素で考え、物質を元素レベルで考える。3要素の構成元素が決まっていて、バランスしている。活動した組織が失われた物質(元素)を取り戻すには他の細胞か要素から取り戻すことになる。取り込みと排泄はホルモン等によって調節された濃度勾配等により駆動される。調節が不十分だと、活動した細胞の活性は活動前の状態に復帰しない。
バランスの変化を調べた例として、ストレスや運動を与えると分かりやすいアウトプットである尿中のミネラルの量が変化する報告がある。調節システムのどのプロセスがネックになってアウトプットが変化するかが調べられ、原因を明らかにしていく。そして、その原因プロセスに介入する方法が調べられる。
運動の疲労の観点では、エネルギーや筋力の視点の他に、中枢性疲労(無意識下の認知疲労)も調べられている。

感想
様々な疲労の原因が解説されていた。思いがけず、前提となる恒常性の理解が整理できた気がする。イメージとしては、疲れたなと思ったら、原因の寄与率ランキングみたいなものがあって、的確に言い当てることと、適当な介入をできると良さそう。中枢性疲労はどこかで読んだが、ここで取り上げられるくらいに信頼性があるようだ。ラストスパートを説明するなど説得力があり、プラセボが有用であることが示唆される。
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2023.10.29 Sun l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
元論文
https://www.mdpi.com/2304-8158/11/19/3120

日本語訳
https://hts-saltworld.sakura.ne.jp/salt16/salt16-3/salt16-3-Foods/salt16-3-Foods-3.html

ある時、粒子径の大きい塩は小さい塩よりも塩味を強く感じられることに気づいた。例えば、ステーキやポテトチップスに振られるごつごつした塩と、食パンに均等に含まれる細かい塩の含有量を比べると、前者は案外少ない。そこで、粒子径の依存性を調べると、塩が不均一に分布するほど塩味を感じやすい報告があった。粒子径が大きいことは不均一に近い意味を持つので、個人的な感覚と整合した。不均一の実装方法の例として塩のカプセル化が挙げられている。個人の意識としては、粒子径の大きい食品を選ぶと感じる塩味を減らさずに減塩効果を得られそうである。これは加工度の低さとの相関が大きい気がする。方針は少ない方が良いので、結局は加工度の低さを意識すれば大まかには良さそう。

このように脳をハックして所望の結果を得ようとする過程は、身体トレーニングにも似ている。同じトレーニング効果を得るために、個人的にメンタル負荷の低い方法を探って行うと心の平安が比較的保たれる。同じがんばりであればより大きな効果を得られる。
2023.10.21 Sat l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲
熟達論を読んだ。

学びのパターンを追究して熟達のステップを5段階に分けた。
1.面白いからやる遊びに始まり、
2.型を身につけ、
3.構造を理解して「わかる」
4.無意識に要所を抑えて動きのバランスをとれるようになり、
5.自我がなくなり没入する

身体と環境との対話が今を生きる人間らしさである。
相手によって正反対のアドバイスが有効な場合があることが段階の違いで説明できる。


パフォーマンスのレベルはさておき、似た感覚を得たことがある気はする。
以前、「学び」の構造という本でも似た見解があった。

遊びの面白さの素として不規則さが挙げられていた。予測の困難さとも言えるだろう。
自分にとって練習での2分や20分のパワーと疲労度からレースのパフォーマンスはだいたい見当がつく。変化をつけながらパフォーマンスを追求する段階は過ぎ去ったが、予測困難なテーマを引き続き楽しめている。最近のテーマは、何か月間も全く自転車に乗らない状態から数週間で修善寺やヒルクライムを走れるかだった。なぜならロードに乗り始めて以来何か月も乗らないことはなかったから。思えば結局本番はどれも走れなかったが、練習のパワーや感覚からして、数週間で戻せるレベルのイメージはついた。逆に家でできる柔軟性を高めるストレッチは初めて継続的にやって今さらながら効果を見出した。また、お金の力で移動して良いところだけ走る快適さも予測できなかったことで、今年は楽しめた。
この世は予測困難さに溢れているので遊びは尽きない。
2023.10.14 Sat l つれづれ l COM(0) TB(0) l top ▲
日々知見がたまっていく。
横浜周辺の散歩コースと昼の食事処。

(1)アンパンマンミュージアム
入場は1回したけど基本は1Fの入場無料のお土産どころで雰囲気を楽しんでお土産を買う。
https://www.yokohama-anpanman.jp/

新高島駅近くの焼肉。くら寿司方式の配膳レーンでランチセットが届けられる。お肉が美味。お子さまランチにもしっかりお肉がついてくる。
https://s.tabelog.com/kanagawa/A1401/A140101/14084379/

(2)横浜の観覧車と最近できたロープウェイ
http://cosmoworld.jp/attraction/wonder/cosmoclock21/
https://yokohama-air-cabin.jp/

観覧車の開店が11時と遅いので海やハンマーヘッドを散歩してから。
https://www.hammerhead.co.jp/

ランドマークの地下の飲み屋街の串焼き。座敷があり助かる。お子さまランチにもしっかり串焼きがついてくる。サラダがずっしり。
https://s.tabelog.com/kanagawa/A1401/A140103/14051495/

(3)横浜高島屋の屋上の乗り物
https://www.sumaitoseikatsu.yokohama/archives/28277
→つい最近行ったが閉店した模様。(https://www.takashimaya.co.jp/yokohama/floor/

横浜駅西口すぐで1階にベビーカーのまま入れて座るスペースが広め。メニューを選べば野菜を食べられる。
https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140101/14067784/
→つい最近行ったが閉店した模様。


書きながら世話になった店の閉業を2件見つけて街の新陳代謝(少子化)を感じる。
上の2件のレストランもコスパが良すぎてつぶれないか心配。
2023.10.09 Mon l 育児 l COM(0) TB(0) l top ▲
現在のドーピングの問題について読んだ。2000年代と比べて陽性摘発のニュースは減った気がするが最近はどうだろう。

Fifty shades of grey? On the concept of grey zones in elite cycling

世界アンチドーピング機関(WADA)は、国やスポーツごとに異なっていたアンチドーピング規制の統一のため1999年に設立された。その規範で禁止物質を定義している。明示的に禁止されていない物質は許可されていると見なされる。
ただしperformance enhancing drugs(PED)の全てが禁止されているわけではないことと(例えばカフェイン)、禁止リストは変更される可能性があることに注意する必要がある。問題は明示的に許可または禁止されていないグレーゾーンの存在であり、例えば以下がある。

例1.治療目的での禁止物質の使用
治療に必要との承認を得れば禁止物質の使用は許可される。このTherapeutic Use Exemptions(TUE)プログラムがパフォーマンス向上のために組織的に悪用されていたとの指摘がある。例えばチームスカイのマージナルゲインの獲得があるがWADA規則には違反していない。

例2.合法的なパフォーマンス向上
パフォーマンス向上効果が認められるものの、許可されていてドーピングとはみなされない物質や方法がある。例えば鎮痛剤や栄養補助食品などの物質、低酸素室など。EPOと低酸素室はどちらも高地でのトレーニングと同様の効果を目的とするが、不当とみなされるのはEPOだけである。

例3.未承認または未登録のPED
他よりも規制が緩い国の保健当局によって承認されている物質の使用は、すべてのアスリートがアクセスできるわけではないため不公平な競争につながる。


関係者へのインタビューでは、特に、TUE、低酸素室、鎮痛剤、サプリメントは、禁止されていないにもかかわらず、逸脱と認識されている。また、特にキャリア前半の選手や新しいチームドクターは、TUEに非常に不快な感情を抱いたと報告した。

アスリートの40%から100%がサプリメントを使用していることが示された。サプリメントはマージナルゲインの一部と見なされる。しかし、「普通ではないと思うのは、レース中に多くのライダーがラスト100kmでトラマドール(=鎮痛剤)を服用しているのを見るときです」(ある選手)。

エリートスポーツのパフォーマンス重視の文化を考えると、グレーゾーンを逸脱とみなすのは矛盾に思われる。選手はアンチドーピング規制に加えて、拡大するグレーゾーンの使用による疑惑を回避しなければならず、不安定な労働条件にさらに不確実性が加わる。

「クリーンスポーツ」を装って、ますます多くの物質や方法をグレーゾーンに押し込めがちで、状況は悪化している。
改善策として禁止物質リストの短縮を提案する。リストを強化作用が明確で健康上の脅威となるカテゴリーに限定することで、禁止範囲が明確になり、グレーゾーンに対する否定的な認識が減り、その使用への不安が軽減されうる。


感想
個人的に認識していた現在のドーピングの問題としては、
・不正の検出技術と回避技術のいたちごっこ
・意図せず禁止物質を摂っていて検出された場合の救済の余地
くらいであり、グレーゾーンの問題の深さは知らなかった。

個人的経験としては、学連でもランダム抜き打ち検査があり市販の風邪薬は飲まない意識はあった。風邪を引いたら休んで自然治癒あるのみ。大したレベルになかったのであまり気にしていなかった。タイラーハミルトンのシークレットレースを読んで衝撃を受けたことはあった。

グレーゾーンを狭めるのは良いけど、規制を高リスク物質に絞ることとの関連がまだ理解できていない。

TUEを廃止すればグレーゾーンが減るのはわかった。廃止すればよいと思った。この制度の利得と弊害を比べたら弊害が大きい気がする。もちろん制度が必要という側の話も聞かねばなるまいが。

健康を害さない前提で、強化すること自体ではなく、アクセスの不公平が問題と思われる。
あまり複雑な規制をすると競技の裾野を狭める弊害もありそう。
禁止物質を絞ったら検査がしやすくなり、広範囲のレースで検査することが啓蒙になる気はする。それでも強化技術の進歩に従って禁止リストは増える一方か。
2023.10.02 Mon l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲