宇宙創成
サイモン・シン著
オカルトの話ではない。
宇宙はどうなっているのかという基本的な問いに対する宇宙論の歴史を平易に語った本。
古代以前においては、神話に支配されていた。
紀元前6世紀のピュタゴラスの登場以来、数学と科学が生まれた。
数学は、純粋な論理的つながりに基づく真理を求め、
科学は、仮説の考案とその検証により自然現象を説明する。
数学の話は「フェルマーの最終定理」で語られる。
宇宙、というか天体の動きについての最初の統一理論は、プトレマイオスによる「地球は宇宙の中心で静止している」という地球中心説だった。空を見上げて思い至るには自然な理論であり、火星の逆行運動などを説明するために円運動を組み合わせた複雑なものではあったが、あらゆる天体の動きを予測でき、検証されたため、正しい理論として受け入れられた。
紀元前3世紀のアリスタルコスや中世のコペルニクスなど太陽中心説を唱えるものもあったが、受け入れられなかった。すでに現象を説明可能な理論があり、新理論が検証されていなかったからだ。
17世紀になって、ガリレオにより木星に衛星があること、金星が満ち欠けすることが観測されたことが証拠となり、徐々に太陽中心説が受け入れられていった。
さらにニュートンの重力理論(万有引力)により、太陽中心説が唯一説明できなかった、なぜ地球上に立っていられるのかという問題が解決され、ついにすべてが統一的に説明された。
しかし、依然として宇宙はどのように創造されたかという究極の問いには答えられない。
宇宙はどんな物質でできているのか、重力はどのように生じるのか。
転機は、光の速度が有限であることが観測されたことだった。
アインシュタインは、例えば光速に近い速度で移動する人は、止まっている人から見ると時間がゆっくり進んでいるように見えるという思考実験を元に、空間と時間は質量により伸び縮みするとする相対性理論を考案した。
当然受け入れられるものではなかったため、これを検証するための観測可能な現象を探したところ、天文学者のエディントンが重力の大きな太陽により光が曲げられ恒星の位置が実際よりずれて見えることを観測しようということになった。通常、太陽はまぶしくて恒星は見えないので、日食を狙って写真を撮り、新理論を検証した。
同時に、相対性理論は宇宙が重力により潰れていくという結論を生んだため、宇宙は永遠なはずだという思いから静的宇宙モデルとするための宇宙定数の項が加えられた。しかし、これは美しくない。プトレマイオスが無理やり火星の逆行運動を説明したときのようだ。
これに対する動的な宇宙モデルが、フリードマン、ルメーテルによりビッグバンモデルとして考案されたが、これも検証が必要だった。
ハッブルは高精度な望遠鏡により、銀河の光の波長が変化することからドップラー効果により星雲が遠ざかっていること、その速度は地球からの距離に比例することを示した。これの観測により、過去にすべてが一つの高密度な点から出発したとするビッグバンモデルが検証された。
長々読んで思ったことは、ビッグバンモデルは何も特別な難しいものではなくて、他の理論と同じく検証された仮説であることと、ドップラー効果が理解できれば納得できるものだということだ。
サイモン・シン著
オカルトの話ではない。
宇宙はどうなっているのかという基本的な問いに対する宇宙論の歴史を平易に語った本。
古代以前においては、神話に支配されていた。
紀元前6世紀のピュタゴラスの登場以来、数学と科学が生まれた。
数学は、純粋な論理的つながりに基づく真理を求め、
科学は、仮説の考案とその検証により自然現象を説明する。
数学の話は「フェルマーの最終定理」で語られる。
宇宙、というか天体の動きについての最初の統一理論は、プトレマイオスによる「地球は宇宙の中心で静止している」という地球中心説だった。空を見上げて思い至るには自然な理論であり、火星の逆行運動などを説明するために円運動を組み合わせた複雑なものではあったが、あらゆる天体の動きを予測でき、検証されたため、正しい理論として受け入れられた。
紀元前3世紀のアリスタルコスや中世のコペルニクスなど太陽中心説を唱えるものもあったが、受け入れられなかった。すでに現象を説明可能な理論があり、新理論が検証されていなかったからだ。
17世紀になって、ガリレオにより木星に衛星があること、金星が満ち欠けすることが観測されたことが証拠となり、徐々に太陽中心説が受け入れられていった。
さらにニュートンの重力理論(万有引力)により、太陽中心説が唯一説明できなかった、なぜ地球上に立っていられるのかという問題が解決され、ついにすべてが統一的に説明された。
しかし、依然として宇宙はどのように創造されたかという究極の問いには答えられない。
宇宙はどんな物質でできているのか、重力はどのように生じるのか。
転機は、光の速度が有限であることが観測されたことだった。
アインシュタインは、例えば光速に近い速度で移動する人は、止まっている人から見ると時間がゆっくり進んでいるように見えるという思考実験を元に、空間と時間は質量により伸び縮みするとする相対性理論を考案した。
当然受け入れられるものではなかったため、これを検証するための観測可能な現象を探したところ、天文学者のエディントンが重力の大きな太陽により光が曲げられ恒星の位置が実際よりずれて見えることを観測しようということになった。通常、太陽はまぶしくて恒星は見えないので、日食を狙って写真を撮り、新理論を検証した。
同時に、相対性理論は宇宙が重力により潰れていくという結論を生んだため、宇宙は永遠なはずだという思いから静的宇宙モデルとするための宇宙定数の項が加えられた。しかし、これは美しくない。プトレマイオスが無理やり火星の逆行運動を説明したときのようだ。
これに対する動的な宇宙モデルが、フリードマン、ルメーテルによりビッグバンモデルとして考案されたが、これも検証が必要だった。
ハッブルは高精度な望遠鏡により、銀河の光の波長が変化することからドップラー効果により星雲が遠ざかっていること、その速度は地球からの距離に比例することを示した。これの観測により、過去にすべてが一つの高密度な点から出発したとするビッグバンモデルが検証された。
長々読んで思ったことは、ビッグバンモデルは何も特別な難しいものではなくて、他の理論と同じく検証された仮説であることと、ドップラー効果が理解できれば納得できるものだということだ。
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