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The peloton superorganism and protocooperative behavior

イントロ
 ・人の後ろにいると個人的には楽なのに集団の先頭を牽く人(協力者)がいるのはなぜだろう。
 ・似た話で、生物進化で協力者が生まれる理由の一つは集団間の競争では協力した方が有利だから。
  (Five Rules for the Evolution of Cooperation
 ・個人間、集団間の協力関係をドラフティング効果のある中での自己組織化で説明しよう。

モデル
 ・人の後ろを走るときのドラフティング効果一定を仮定。
 (空気抵抗の減少率1-d=0.38、必要出力比d=0.62)
 ・集団の二人目以降は同じパワーで同じ速度になる。
 ・各人の維持可能パワー(速度)が異なる集団を考える。
 ・ドラフティングしても前について行けない人は減速し、
  維持可能速度からランダムな微小速度だけ遅い速度で走る。
 ・各人は維持可能速度以下の範囲でランダムに加速(0~2m/s)し、前の人を追い越す。
 ・疲労は考えない。

テストA
方法
 ・集団を一定速度で走らせる。
 ・速度3通り、人数5通り、各5回計算。
結果
 ・協力の具合を維持可能パワーと分担率の相関係数で評価
 →人数によらず集団が遅いほどみんなで先頭を分担する。(相関小)

テストB
方法
 ・ロードレースを模擬した集団先頭速度で走らせる。
 ・最初の15秒遅く、次の30秒速く、その後遅い。
 ・人数は2~48人で36回計算。
 ・各人の維持可能パワーは305~479Wでランダムに分布(レンジ36%)
結果
 ・集団の分裂と合流が発生。
 ・余裕のある集団では維持可能パワーのばらつきがドラフティングによる空気抵抗の低減率1-d=0.38に近い。
 ・遅い集団ほど平均のきつさ(各人の維持可能パワーと発揮パワーの比の平均)は大きい。
  遅い集団は維持可能パワーが低い人から成るため。

計算の結果、集団にはsuperorganismとしての次の特徴が現れた。
集団内の協力は、
 a 集団内の類似性が大きい(走力のばらつきの小さい)ほど増える
 b 集団サイズが大きいほど減る
 c 集団の数が大きいほど増える
 d 集団間の類似性が大きいほど減る

感想
 ・ランダムに加速する仮定だけで集団の秩序が生まれるのは面白い。
 ・走行抵抗は空気抵抗だけではないのでドラフティング時の空気抵抗の比d=0.62と出力比は少し異なる。
 →平地だと出力比0.67程度
 ・集団内の走力のばらつきのレンジがドラフティングの出力比に近くなるのは言われてみればあたりまえ。
  先頭が全開に近ければ出力比より弱い人は千切れるので。
 ・集団間の競争によって協力が生まれるのなら、単騎の人ばかりではやはり秩序は生まれないのか。
 ・いろいろ考えて動いているつもりでもマクロにみるとランダムだとすると悲しい。
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2021.05.29 Sat l 本・論文 l COM(0) TB(0) l top ▲

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